Homoeopathy & Yoga

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2017年 11月 19日

シッダールタ

秀子さんの本の「傾聴」に関する章の中に
「シッダールタ」のことが書いてあった
「シッダールタ」とは釈尊の出家以前の名

幼少の彼が様々な経験を経て
川の流れから悟りの境地に達する
という、ヘルマン・ヘッセの作品

この本を読むと、ヘルマン・ヘッセが
ヨーガや仏教的思想にも精通していたことを感じる

小説ではあるが、シッダールタが環境によって
どんどん堕落して、崩壊していく様に共感してしまう…
人間は、環境の動物だろうと思う

その表現が、「さすがヘッセ!」なので
以下に抜粋して紹介します


かつて彼が青春の頂点において
ゴーダマ(ブッダ)の教えを聞き
ゴービンダ(親友)と別れた後に経験した
あの高い明るい目覚め、あの緊張した期待
教えも師ももたなかった孤高
神の声を自分の心の中に聞く弾力のある覚悟
そういうものは次第に思い出となり
たよりないものとなっていた

かつては身近にあり彼自身の中でせせらいでいた神聖な泉が
今はかすかに遠くで音を立てていた

節度のある生活、思索の喜び、瞑想のとき
肉体でも意識でもない自己、永遠な自我の自覚など
そういうものは彼の内にかなり残っていたが
逐次没し去って、ほこりにおおわれてしまった

陶工のろくろが一度動かされると
長い間回転しているが、徐々に衰え
ついには停止するように

シッダールタの魂の中でも
禁欲の車輪、思索の車輪、分別の車輪は
長い間回転し続け、依然として回転してはいたが
緩慢にたゆたいながら回転し、静止に近づいていた

湿気が枯死していく樹幹に浸み込み
徐々にこれを満たし腐らすように

シッダールタの魂の中にも
世俗と惰性が徐々に染み込み
徐々に魂を満たし、重くし、疲れさせ
眠り込ませた

ー By Hermann Hesse シッダールタより抜粋 ー

経験がある人にはなんとなくわかるであろう
自分が乱れていく感覚がとてもうまく表現されていて
読んでいて、ドキドキしました

思えば、そんなことばっかりかも…(苦笑)




by naturecurejapan | 2017-11-19 11:13


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